アートに触れて美意識を高めましょ♫

美しさは、内側から滲み出てきます。美しいものに触れて美意識を高たい人のためのブログです。

佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美

京都国立博物館

平成知新館にて

 

「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」

を開催しています。

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2019/10/12~11/24まで

前期 10/12~11/4

後期 11/6~11/24

 

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 藤原公任(きんとう)は、万葉・平安の優れた歌人から36人を選びました。

これが「三十六歌仙」の始まりです。

 

柿本人麻呂大伴家持紀貫之小野小町在原業平らに代表される

三十六歌仙の絵姿は、鎌倉時代以降、繰り返し画題になりました。

 

こうした歌仙絵の中でも最高傑作とされたのが、

秋田藩主・佐竹家の秘宝とされた「佐竹三十六歌仙絵」です。

 

佐竹本は700年以上前の鎌倉時代につくられた絵巻物で、

絵姿は似絵の名手・藤原信実(のぶざね)、藤原義経の筆によるものと

伝わっています。

 

上下2巻に18人ずつ、計36人の歌人肖像画が描かれた現存する

最古の歌仙絵です。

 

しかしながら、この歌仙絵は、今、絵巻としては残っていません。

 

明治維新後、かつての支配階級だった大名家などが没落し、

所蔵する美術品は、新しい有産階級に買い取られていきました。

 

佐竹本が売りに出されたのは、大正6年(1917)。

売値は、35万3000円で、現在の40億円に相当する桁違いの額でした。

 

佐竹本の運命を決定づけたのが、大正8年(1919)に起きた「絵巻切断事件」です。

一人ずつに分割され、散り散りになった歌仙絵は、所有者を変えながら

流転する事になりました。

 

佐竹本三十六歌仙絵の分割からちょうど100年を迎える2019年、

特別展「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」が

京都国立博物館で開催されています。(2019/11/24まで)

 

離ればなれになった断簡を展覧会としては過去最大規模で集結。

大正から昭和、平成の時代を越えて伝えられた歌仙絵の最高峰を堪能できます。

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くじびきで決められた

大正8年(1919)12月20日、東京・品川御殿山の「応挙館」に

当代きっての財界人やコレクターが集まりました。

 

応挙館を含む1万2000坪の大邸宅は、旧三井物産を興した大実業家・益田孝。

雅号を「鈍翁(どんおう)」と称し「千利休以来の大茶人」と評された彼は、

高名な美術品蒐集家でもありました。

 

彼こそが、佐竹本分割の主導者でした。

「高額なため買い手がつかない」と古美術商らの相談を受けた鈍翁は、

最初の柿本人麻呂から最後の中務(なかつかさ)まで歌仙を

一人ずつ切断し共同購入することを決めました。

 

応挙館に集結したのは、その購入希望者でした。

 

切り分けられた歌仙絵は、斎宮女御(さいぐうにょうご)の

4万円を筆頭に、色鮮やかな女ものの歌仙に総じて高値がつけられました。

 

一方、僧侶や黒装束の男ものは、比較的安値がつけられ、最安値は3,000円

でした。

 

購入希望者は、青竹の筒に入った、番号入りのくじを順に引いていきました。

鈍扇は、斎宮女御を狙っていましたが、当たったのは僧侶。

 

斎宮女御を引き当てたのは、裏方を務めていた道具商でした。

道具商は、機嫌を悪くした鈍翁を見て、斎宮女御を譲ったそうです。

 

こうして佐竹本の数奇な流転が始まりました。

断簡は、時代の波に乗り財を成した者が買い求め、その時代が去ると手放しました。

 

世界恐慌や太平洋戦争、戦後の財閥解体、そして高度成長とバブル経済

ばらばらになった歌仙絵の流転に、近代日本の盛衰が映し出されます。

美術史を揺るがした切断事件と、様々な所有者を経た流転の歴史そのものが

佐竹本のステータスを高めてきたのです。

 

佐竹本三十六歌仙絵のほか、

平安・鎌倉時代の和歌、歌仙にまつわる美術品も展示されています。

 

 

 この特別展は、旧秋田藩主・佐竹候爵家に伝わった「佐竹本三十六歌仙絵巻」が分割されてから百年の節目を迎え、流転した作品をできる限り探索し、一堂に集め開催したものです。

大正八年(1919)、二巻の絵巻物であった「佐竹本三十六歌仙絵」は当時の財界人や数奇者らによって一歌仙ずつに分割されてしまいます。

この出来事は、当時、絵巻の「切断」事件として新聞などで大きく取り上げられました。

その後、一枚一枚の歌仙絵はかく各人各家の秘宝として大切に受け継がれる一方で、戦争、高度経済成長、バブル崩壊など、めくるめく日本近現代史の波に翻弄され、所有者が移り変わることもありました。

残念ながら、その流転の中で、所在がわからなくなってしまったものもあるのです。

この秘宝「佐竹本三十六歌仙絵」を過去最大の数で終結させ、その魅力と意義を改めて

紹介するものです。

 

平安・鎌倉時代につくられた王朝美術の名品を観ることで、

和歌をはじめとする日本の古典文化を回顧するのも良いのではないでしょうか。

 

 

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 外に出ますと、夕日が綺麗でした。

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京都国立博物館

〒605-0931

京都府京都市東山区茶屋町527

075-525-2473

火~木・日 9:30~18:00

金・土 9:30~20:00

一般 1,600円 (1,400円)

大学生 1,200円 (1,000円)

高校生 700円 (500円)

中学生以下は、無料

 

京阪電車七条駅下車 東へ徒歩7分

市バスをご利用の場合:

京都駅八条口のりばから京都女子大学前行きにて「東山七条」下車 徒歩1分

四条河原町から京都女子大学前行きにて「東山七条」下車 徒歩1分

乗用車の場合:

名神高速道路 京都東IC 出口から20分

駐車場は、有料です。(三井のリパーク